虫歯治療その (Ⅱ)「金箔充填」と「珪酸セメント充填」について。
2023/03/03
前回は虫歯治療に使う素材として、今は無き「アマルガム」についてお話しをしました。今回は先ず、これも今は何処を探しても無い「金箔充填」と「珪酸セメント」についてです。
「金箔充填」とは、文字通り純金に近い箔を歯に詰める技法です。これはうまく充填できればかなりの素材です。歯に緊密に詰める事が出来るので、「アマルガム」や「金属インレー」などより遥かに精密に治療出来ます。
しかし欠点もあります。密接に詰める為に歯にかなりの圧を加える為、殊に上顎の歯の場合はガツンガツンと間歇的な音と衝撃が頭に響きます。患者様にはかなりの負担がかかったと思われます。そして複雑な形の所には応用できないうらみがあり、単純な形態に向く治療法です。昔はこれに一生懸命に取り組んでいた歯科医師がいたかと思われますが、これも今は誰も使っていません。
もう一つの「珪酸セメント」ですが、これは歯の中の歯髄組織(神経)にかなりの刺激があり、これが原因で神経を取った症例が多かったようです。昔は前の歯に詰める素材に良いものが無く、これを使わざるを得なかったのでしょう。
そのような訳で、現在は大変に優れた素材が開発されているので、「珪酸セメント」と「金箔充填」はその役目を終え、使用されていません。
成城学園前 鈴木歯科医院